「ジャズって、なんかコードの響きが難しそう…」「独特のフワッとした感じ、あれってどうなってるの?」
ジャズを聴き始めた方がまず最初に抱く疑問の一つが、そのハーモニーの奥深さですよね。
普段聴いているポップスやロックとは一味違う、あのモダンで洗練された響きの秘密。
その一つに、クォータルハーモニー(四度堆積和音)という考え方があるのです。
今回は、このクォータルハーモニーがどんなものなのか、そしてなぜジャズでこんなに多用されているのかを、分かりやすく解説していきます。
「いつものコード」と「クォータルハーモニー」の違いって?
私たちが普段「コード」と呼んでいるほとんどのものは、例えば「Cメジャー」なら「C・E・G」というように、根っこになる音から**「三度」ずつ音を積み重ねて**作られています。これを「三度堆積」と言ったりします。
この三度堆積のコードは、とっても安定していて、メジャー(明るい響き)とかマイナー(暗い響き)とか、はっきりとした「調性」を感じさせてくれます。
私たちにとって一番馴染みのあるコードの響きですね。
ところが、クォータルハーモニーは、この「三度」ではなく、「四度」の音程を重ねてコードを作ります。
例えば、Cの音から四度ずつ重ねると、「C-F-B♭」という響きになります。
どうでしょう?「C・E・G」とは全然違う、ちょっと不思議で、力強さがありつつも、どこか宙に浮いているような響きに聞こえませんか?
この「四度」という音の重ね方が、独特で明るいとか暗いという印象をもたない、クールなサウンドの正体なのです。
ジャズでクォータルハーモニーが多用される理由
では、なぜジャズはそんなにクォータルハーモニーを好んで使うのでしょうか?
1. 「モード」と相性バツグン!
1950年代後半、「Kind of Blue」というアルバムで有名になったモーダル・ジャズというスタイルが登場しました。
これは、それまでのジャズのように複雑なコード進行をどんどん変えるのではなく、一つの「モード(音階)」を長く保って演奏する、というもの。
クォータルハーモニーは、このモードの音を四度ずつ重ねて使うのに、とても都合が良いのです。
三度堆積のコードだと、どうしても特定のコードに響きが引っ張られがちですが、クオータルだとモードの持つ「浮遊感」や「自由な響き」をそのまま保ったまま、豊かなハーモニーを作ることができるからです。
※こちらのブログでもモードについて取り上げています。
→コードスケールの学習方法|丸暗記しなくても簡単にアドリブに使えるコツ 後半 (理論的補足)
2. 和音の積み方の可能性
ジャズには「テンション」という、コードに加えることでおしゃれな響きを作る音があります。例えば「9th」とか「11th」とか「13th」とか。
クォータルハーモニーでは、この「四度」で音を重ねていくと、普段テンションとして扱われるような音が、まるで当たり前のようにコードの中に自然に入ってきます。
これによって、これまでとは違う、もっと複雑で、刺激的なハーモニーを自由に作り出せるようになったのです。
まるで新しい色鉛筆を手に入れたような感覚になれます。
3. 演奏の可能性がグッと広がる!
ピアノやギターなどのコード楽器はもちろんのこと、サックスのような単音楽器を演奏する人たちにとっても、クォータルハーモニーは大きな可能性をもたらしました。
特にマッコイ・タイナーというピアニストが、このクォータルな響きを巧みに使いこなし、ジャズピアノのサウンドを大きく進化させました。
ホーンセクションでクォータルハーモニーを使っても、クールでインパクトがある響きが得られます。
楽器の構造によっては弾くことが難しいのですが、(ギターだとフレーズによっては、運指がとても難しくなります)得られるサウンドは練習する価値が十二分にあります。
実際の使用例「Cantaloupe Island」のアドリブソロでクォータルハーモニーのフレーズを演奏
ハービー・ハンコックのセッション定番曲「Cantaloupe Island」。
この曲のDmのコードが4小節続く箇所をDドリアンというスケール(D, E, F, G, A, B, C)で弾くことが出来ます。
このDドリアン上で作れるクォータルハーモニーを使うと、独特なクールなサウンドでインパクトが与えられます。

実際に私が弾いてみた動画をご覧ください。
上記の譜例を順番に弾いていったシンプルなフレーズです。
まとめ:クォータルハーモニーの応用力
クォータルハーモニーは、ジャズのハーモニーを語る上で欠かせない、本当に面白い概念です。
独特なこの「四度」の響きをジャズミュージシャンの実際の演奏の中で、発見してコピーするとより面白さがわかると思います。
また、ポップスでもここぞという場面ではとても効果的で、実際に私も自身の編曲で度々使用しています。
映画、アニメ音楽などにもよく使われますね。
久石譲さん、菅野ようこさんなど、僕も好きな作曲家の楽曲でもよく耳にします。
私としては、身につけると世界が広がるイチオシのコードの手法です。
是非、試してみてください!
※下北沢のVitamin Studioではポップスにも役立つジャズギターレッスンをしています。
ポップスの可能性を広げる方法を学びたい方は是非、お問い合わせください。



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