「ペンタの1音だけ変える」ブルースアドリブ入門 — A7でマイナー3rdをメジャー3rdにするだけ

ギターレッスン中級者向け

こんにちは、Vitamin Studioの田村です。
今回は、ペンタトニック一発のソロから、コードトーンを狙うソロへ進むための「最初の一歩」についてお話しします。

ブルースのアドリブをペンタトニックで弾けるようになってきた方から、こんなご相談をよくいただきます。

ペンタは一通り弾けるようになったけれど、なんとなく同じ響きばかりで飽きてきた。
次に何をすればいいのかわからない。

この段階で「じゃあ次はコードトーンです」と言われても、覚えることが一気に増えて挫折しやすいところです。
そこで今回は、ペンタトニックのポジションはそのままに、たった1音だけ変えるという方法をご紹介します。
すぐに試せる内容です。

ペンタトニックだけだと「コード感」が出ない

Aのブルースは、A7 → D7 → E7 とコードが動いていきます。
ところがAマイナーペンタトニック一発で弾いていると、どのコードの上でも同じ音使いになってしまうのです。

ペンタトニックは「どのコード上でも外れない響き」になっているため、これはこれで非常に便利です。
ただしその裏返しとして、聴いている人に「今どのコードが鳴っているか」が伝わりません。
バッキングが止まって自分のソロだけになった瞬間、コード進行が消えてしまうわけですね。
(ペンタトニックにコードトーンが入っているので、厳密に言うとペンタトニックの音の選び方次第ではコード感も出せますが)

B.B.キングのソロを聴くと、単音で弾いているだけなのに、後ろのコードが浮かび上がってくるように聴こえます。

こちらの動画では彼がコードトーンを中心に捉えてフレージングしてることがわかります。

彼は理論用語で多くを語りませんが、「このコードのときは、この音がいい」という感覚でコードの音をしっかりと狙っていたプレイヤーだと言えます。
今回やることは、その入口にあたります。

変える音は、たった1音だけ

まず、AマイナーペンタトニックとA7のコードトーンを並べてみます。

  • Aマイナーペンタトニック:A(R)・C(m3rd)・D(P4th)・E(P5th)・G(♭7th)
  • A7のコードトーン:A(R)・C(M3rd)・E(P5th)・G(♭7th)

見比べていただくと、A・E・Gの3音はもともと共通です。
つまり、ペンタトニックを弾いている時点で、すでにA7のコードトーンを7割方は弾いていることになります。

足りないのはC♯(M3rd)ただ1音
そしてこの音は、ペンタトニックのC(m3rd)の半音上にあります。

やることはこれだけです。
A7の小節では、Cの音を半音上げてC♯にしてみる。

ボックスポジションのどこを押さえるか

6弦5フレットを中心としたボックスポジション(ペンタボックスポジション限定ソロ例で使ったポジション)の中で、C♯は次の場所にあります。

  • 3弦6フレット(3弦5フレットのCの隣)… まずはここだけで十分です
  • 6弦9フレット(6弦8フレットのCの隣)
  • 5弦4フレット(5弦3フレットのCの隣)
  • 1弦9フレット(1弦8フレットのCの隣)

特に3弦5フレット→6フレットの動きは、ブルースで最も耳にする形のひとつです。
ハンマリング・オンで滑り込ませたり、軽くチョーキングで持ち上げたりすると、一気に「らしい」響きになります。
すでに無意識に弾いている方も多いはずですが、これがA7のM3rdを狙っている音だと自覚して弾けるかどうかで、応用力が変わってくると思います。

※度数を意識して弾くことの重要性については、こちらもあわせてご覧ください。
→「アドリブ演奏に役立つスケール練習:指の形だけで覚えていませんか?

練習の進め方

  1. まずはいつも通りペンタトニックで弾く
    バッキングトラックに合わせて、普段のフレーズを自由に弾いてみましょう。
  2. A7の小節に入ったら、3弦6フレットを1回だけ混ぜる
    たくさん入れる必要はありません。1コーラスに1〜2回で十分です。
  3. C♯で少し伸ばして、響きを確認する
    後ろのA7と混ざったときに、パッと明るくなる感じがあるはずです。この響きを耳で覚えます。
  4. C(m3rd)とC♯(M3rd)を行き来してみる
    ハンマリング、スライド、チョーキング。フレーズとして手に馴染ませていきます。

バッキングトラックはこちらの記事のものが使えます。
→「ブルースで学ぶギター基礎|どんなジャンルでも役立つ演奏感覚

ひとつだけ注意点:D7では使えません

ここが、ペンタトニック一発との一番大きな違いです。

ペンタトニックは「どのコードでも外れない音」だったので、コードが変わってもそのまま弾き続けられました。
ところがC♯はA7専用の音です。D7の小節でC♯を弾くと、D7の構成音であるC(♭7th)と半音でぶつかり、はっきり「音を間違えた」ように聴こえてしまいます。

逆に言えば、D7に入ったら元のC(3弦5フレット)に戻すだけでOKです。
しかもこのCの音は、D7から見ると♭7thというコードトーンそのもの。
同じ音が、A7の上では「ペンタトニックの音」、D7の上では「コードトーン」として機能しているわけですね。

コードトーンを狙うということは、こうして今どの小節を弾いているかを把握しながら弾くということでもあります。
ペンタトニック一発の大らかさに比べると、最初は少し窮屈に感じるかもしれません。ここは慣れの部分が大きいので、まずはA7の小節だけ意識するところから始めてみてください。

まとめ

  • ペンタトニック一発では、聴き手にコード感が伝わりづらい
  • A7のコードトーンのうちA・E・Gはペンタトニックと共通。足りないのはC♯(M3rd)の1音だけ
  • まずは3弦5フレット→6フレット。A7の小節で1回混ぜるところから
  • D7に入ったら元に戻す。C♯はA7専用

ところで、勘のいい方はここで疑問を持たれたかもしれません。
Aマイナーペンタトニックの「マイナー3rd」と、A7の「メジャー3rd」。この2つは本来同居できないはずの音です。
実際、クラシックをはじめとする西洋音楽の理論では、まず出てこない使い方になります。

それでもブルースでは成立する。むしろ、それこそがブルースらしさと言えるでしょう。
この話はまた別の機会にでも取り上げたいと思います。

コードトーンそのものの練習方法については、こちらの記事もご覧ください。
→「ギターの指板把握の基礎練習!コードトーンを練習しましょう

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