演歌・歌謡曲の現場で学んだこと

参加作品/ライブ - ギター担当


今回は、私が演歌や歌謡曲の現場に携わった経験を書いてみたいと思います。

演歌・歌謡曲の制作現場

演歌や歌謡曲の現場は、基本的にスタジオで生録音で進められます。
スタジオミュージシャンが集まり、譜面を見ながら演奏する――いわゆる譜面文化が根付いているジャンルです。

ギターの譜面も、コードストロークやアルペジオなどはリズム譜的な書き方ですが、メロディや合いの手は細かく音符で指定されていることが多く、「タマ譜」(オタマジャクシのタマからきている言葉)が前提になっています。

私が編曲家を担当するときは Finaleで譜面を仕上げて現場に持ち込むことが多かったのですが、勉強用にいただいた大御所先生の譜面や、実際に演奏者として呼ばれたギター譜は写譜屋さんが清書したものでした。

写譜屋さんとは、作曲家や編曲家が書いた荒い手書きの譜面を、演奏者が読みやすい楽譜に清書してくれる職人です。

こうした写譜屋さんのシステムが現場に多く残っていたのです。


ギタリスト、編曲家、プログラマーとして

私が編曲家としても呼ばれた理由の一つは、ギター演奏ができるだけでなく、プログラミング(打ち込み)もできる ことでした。

演歌・歌謡曲の現場では、ポップスに比べてフルオーケストラ録音が行われることが多く、当然ながら制作費も大きくなります。
そのため、すべてを生演奏で制作するのが難しいケースもありました。
そうした中で、私のようにギター演奏と打ち込みの両方ができる人間は、フルオケではないバンド編成などの限られた予算の制作に対応しやすかったのだと思います。

考えてみれば、そういった強みがなければ、演歌の経験がほとんどなかった私が、大ベテランの先生方が活躍している中で編曲の仕事を任せてもらうことは難しかったでしょう。

実際に、演歌・歌謡曲の現場で学んだ譜面対応力やアンサンブル感覚は、今の活動にも大きく生きています。
初見技術が要求され、その場の空気を感じながら演奏する技術は、他のジャンルでもとても役に立っています。


参加作品、ライブ例

いくつか関わった作品、ステージ演奏を挙げさせていただきます。

  • 2016年11月23日 日本クラウンより発売
    聖川真央「おまえと生きる/愛を信じ」
    → B面「愛を信じ」に ギター・編曲・プログラミング で参加
    https://tower.jp/item/4362353
  • 2017年8月23日 日本クラウンより発売
    小林薪示 「みやまの川よ」「恋物語」「愛の嵐…おまえ」
    → 3曲の ギター・編曲・プログラミング を担当
    https://tower.jp/item/4533518
  • 2017年サマーディナーショー ステージ演奏
    清水節子「横浜ロイヤルパークホテル サマーディナーショー」

おわりに

こうした演歌・歌謡曲の現場は、現在では少しずつ減ってきていると思いますが、音楽家として非常に勉強になる場でした。
譜面を主体として通じて作り上げられるアンサンブルは、まさに生楽器のレコーディングの醍醐味であり、
今も自分の音楽の貴重な経験になっています。

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