こんにちは、Vitamin Studioの田村です。
先日のレッスンで、コピーバンドのライブを控えた生徒さんと、音作りの話になりました。
曲はSHISHAMOの「僕に彼女ができたんだ」。使っているのはマルチエフェクターのZOOM G2X FOURです。

弾いていただいたところ、ソロ用に踏み替えたときに、音が前に出るどころか沈んでしまっていました。
そのレッスン時の内容を、書いてみたいと思います。
まず、原曲の音作りをどう聴いたか
僕が聴く限りですが、歪みはストレートなオーバードライブだと思います。
テレキャスのシャキッとしたキレと歪みの粗いザラつきが出るようにすると良いと思いました。
そしてギターソロは、かなり歪んでいます。バッキングと同じままでは足りません。
コンパクトエフェクターで組むイメージなら、オーバードライブで歪んでいるものに、もう1つ足す。
オーバードライブ+ディストーション、あるいはオーバードライブ+オーバードライブで、結果的にディストーションに近い音になる、くらいの感覚でしょうか。
なお、歪みが強くなると、その分ハウリングはしやすくなります。
小さな音量でやってるときではハウリングが起きなかったりするので、大きな音量を出せる環境(リハスタなど)で一度確認しておいたほうがいいと思います。
そもそも「似せる」が目的とは限らない
原曲の使用機材を調べて、それをそのまま用意すれば、音はかなり似せられると思います。
今はネットで調べられますし、それが一番の近道です。
ただ、実情はほとんどの方は手持ちの機材でやることになると思います。
それに、カバーだからといって必ずしも似せたいわけではない、という場合もあります。
「音色は自分の好きな音でやりたい」というのも、僕はまったくアリだと思っています。
そうなると、優先順位の一番は音色の再現ではなくなると言えるでしょう。
音量バランスを、目安として、なるべく破綻がない状態にしておくこと。
ギターが前面に出てくるソロで音が小さくなったりすることは大きな問題です。
歪みを2つ足したとき、1つのとき、それぞれの音量バランスを適切に取っておく。
これが一番大事なところだと思います。
音量バランスの取り方
マルチエフェクターのセッティングについて。
プリセット1番をリズムギター(=バッキング)、2番をソロの時と生徒さんに設定してもらいました。
通常はエフェクトを何もかけていない素の状態=クリーントーンで音量を決めます。
そのうえで、プリセットのツマミを弄っていきます。
生徒さんにご自身でプリセットを設定してもらったのですが、ギターソロの時に音量が下がって聴こえてしまいました。
歪みは強くなっているのですが、リズムギターの時より引っ込んで聴こえてしまうのです。
また、何も踏まないクリーントーンの時は音量が小さく聴こえづらい状態でした。
そこから僕がアドバイスをさせていただきました。
まず、リズムギターである1番を少し下げます。
1番で音量を出し切っていると、何も踏んでいないクリーントーンの音量が相対的に小さくなってしまいますし、ソロで使用する2番で上げる余白も残っていません。
そのうえで、2番を上げていきます。
歪みを強くすると、かえって引っ込んで聴こえることはよくあります。
なので、歪ませたときには音量レベル自体を上げる意識で設定していきましょう。
踏み替えは音量を上げるための操作です。ソロでは「迫力が出る」ところまで持っていきたいですね。
何も踏んでいない時のクリーントーン、歪みを一つ足したとき、2つのとき。
それぞれのバランスを何度も踏み替えながら詰めていきます。
トーンを下げると、聴感上の音量も下がる
この日にもう一つ出た話です。
トーンを低めにした暗い音で行くなら、相当に音量を出さないと引っ込みます。
ライブだと特にそうです(ライブ会場による差も大きいです)。
家でひとりで弾いていると、暗い音は「太くて良い音」にも聴こえます。
でもバンドに混ざった瞬間、その帯域はもう他の楽器が使っているので、居場所がなくなってしまう可能性があります。
なので今回のようなロックバンドの場合、基本は、ある程度は明るくしないとうまくいかないケースが多いと感じています。
ギター側のトーンも全開にしてハマることも少なくないと思います。
僕の場合は、トーンを全開にしないで音作りすることによって、音の太さを稼ぐこともあるのですが、その場合には、音量をある程度大きめにすることによってバランスをとっています。
マルチはできることが多い分、複雑にもなる
マルチに入っているエフェクトの名前は、たいてい実在の機種をもじったものです。
G2X FOURにも「TS」や「Distortion 1」といった感じでモデルが入っていると思います。
こういう名前を見て「ああ、あの音か」と分かると、音作りはかなり有利です。
プリセット名や音色名を知っているだけで、探す時間がまるで違います。
ただ、それが分かるのは、僕がその機種の音を知っているからです。
その知識がない状態なら、ひとつずつじっくりいじってみて、傾向をつかむのがいいと思います。
- これはよく歪むな
- これはブーミーだな
- これはずっと高音が強いな
- これはトーンの効きが強いな
このくらい分かれば十分です。
名前から推測するより、自分の耳で確認したほうが確実ですし、正直なところ、オリジナルの機種とマルチの想定してる機種が全然似ていない場合もあります(苦笑)。
ちなみに、生徒さんにはマルチエフェクターを初めてのエフェクターにおすすめしていないことが多いです。
マルチはできることが多い分、操作が複雑になりがちです。どこを触っているのか分からなくなる、という方もいると思います。
そういう場合は、まず歪みのコンパクトエフェクターを買って、そちらで慣れてからマルチに移る、というのも全然アリだと思います。
順番は人それぞれでいいはずです。
※このあたりについては以前の記事も参照してみてください。
→初めてのエフェクターは何を買えば良い?【初心者向け】
サウンドチェックでPAさんに頼むこと
ライブハウスなどの本番前に音を出せる時間があるなら、ここは見てもらったほうがいいと思います。
伝え方はシンプルで大丈夫です。
「音が変わるところの音量バランスを確認したいので、ちょっといいですか」
見てもらいたいのは、この二つです。
- 歌と自分のリズムギターのバランス
- 音色の切り替えによる音量差があるかどうか
例えば、ワウペダルを使用すると会場によってはワウだけがとても大きく聞こえる(=抜ける)場合があるのです。
これは自分の環境とお客さんがいる地点での聞こえ方がかなり変わることが多いです。
なので、PAさん、または客席まで移動できるメンバーやスタッフにチェックしてもらいましょう。
自分の立ち位置だと自分の音は大きく聞こえるので、音量バランスの確認だけは、他人の耳を借りたほうが確実だと思います。
まとめ
- 音色の再現よりも、音量バランスが破綻していないことが優先
- 歪みを強くすると、かえって引っ込んで聴こえることがある
- 歪みを2つ足したとき、1つのときなど、音色の踏み替えによって音量バランスが崩れないように注意
- 基準は、クリーントーンの音量
- トーンを下げるなら、その分は音量で補う
- モデル名が分からなくても、いじって傾向をつかめば十分
- マルチが複雑に感じるなら、コンパクトで慣れてからでもいい
- サウンドチェックでは音量バランスを第三者に確認してもらう
音色を原曲に似せられればもちろん気持ちいいですが、聴いている人にとっては、そこよりも音量が破綻していないかのほうが大きいと思います。
まずは音量バランスから整えてみてください。
※Vitamin Studioのレッスンでは、こうした本番に向けての音作りなども具体的にご相談いただけます。
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