【おすすめギタリスト紹介】Bill Frisell

ギターレッスン上級者向け

僕は好きなギタリストが本当に多いのですが、この人はいつも挙げてきている気がします。
ビル・フリゼール(Bill Frisell)
理屈ではなく、肌感覚で好きというか。

フリゼールを聴いていると、小学2年生くらいの夕方の感覚を思い出すことがあります。17時のチャイムが鳴って、もう帰らなきゃいけない、空はまだ少し明るい、でもあと少しで暗くなる――あの不安。

「ジャズは大人の音楽」とよく言われますが、フリゼールに関して、僕は少年の頃のような感覚も与えてくれるのです。
彼の音は知的であると同時に、無邪気さや純朴さを強く感じさせます。
ジャズギタリストとカテゴライズされる中では、非常に稀有な存在だと思います。

構造の美しさと、ジャズの輪郭の外側

フリゼールのアドリブは、ジム・ホール(Jim Hall)のように、構造が本当に美しい。余分な音がない。
ハーモニー感覚の豊かさも感じる。
実際に、ジムに彼は師事していたそうです。(ジム・ホールに関連する記事はこちら
その意味では、ジャズの伝統に深く根ざしたギタリストです。

ただ、フリゼールは歪みも使うし、ジャズではない音楽要素を強く取り込んでいます。
ジャズ・ギタリストとして語り尽くすのは難しい人で、むしろオルタナと言った方が近い感覚があります。

ハーモニーは、洗練されています。ギターならではの美しさを生かしたハーモニー、シンプルな和音も使うのですが、その連結の完成度。インプロヴァイズでも音楽的に非常に綺麗につながっていきます。
そしてそこに混じる不協和音の、奥深さ。
僕は、この不安が立ち上がってくること自体を、美しいと思っています。

“Throughout”――不安から始まる曲

“Throughout”は、フリゼールのキャリア初期のECM作品に収録されている曲です。
冒頭からディミニッシュの響きで始まり、ところどころにそれを挟みながら展開していきます。

不安さと、ふとオープンに開ける明るさが、交互に響いていく。
怯えた少年の歩幅で進んでいくような曲で、如何にも彼らしい楽曲だなと感じます。

“Moon River”――シンプルで美しい歌心

個人的にすごく好きなのが、デイヴ・ホランド(Dave Holland)、エルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)とのトリオで演奏している”Moon River”です。

ジャズ史の重鎮二人を従えながら、フリゼールはアコギでシンプルにメロディ、ハーモニーを紡いでいく。
彼のタッチとタイム感が本当に絶妙で圧巻です。
無駄な音がなく、隅々まで美しい。まさに一音も余っていない。

“Summer Running”――メセニーとの共演

ベーシストのマークジョンソン(Marc Johnson)名義の作品。
パット・メセニー(Pat Metheny)と共演しています。
メセニーも素晴らしいですが、ここでのフリゼールの1音1音の説得力に満ち溢れたソロには、舌を巻きます。
素晴らしいアルバムなので、ギタリストに大変オススメです。

サントリーホールでの「Aoh!」

フリゼールのライブは、ブルーノート東京とサントリーホールで2回観ています。

サントリーホールの方が、特に印象に残っています。ヨーロッパの古楽器系の民族楽器の方との共演でした。アンコールでフリゼールがソロ・ギターを弾いていた時、弦が切れたんです。その瞬間、ビルが大声で「Aoh!」と叫んだのを、今でも覚えています。

お茶目で、飾らない人だな、というイメージが強く残りました。

Bill Frisellを是非聴いてみてください

幅広い音楽的素養と、サーカス的なテクニックではなく音楽的なテクニックで、深い表現を成し得る――
そういう意味で、フリゼールは僕にとって唯一無二の存在です。
少年のような純粋さと、成熟した奥深さが同居している音楽家
僕にとっては憧れのギタリストです。
是非、チェックしてみてください。

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