エレキギターはアンプ必須?生音練習の落とし穴とノイズを制するミュートテクニック
「家で練習するとき、アンプに繋ぐのは面倒…」──そう思っていませんか?
特に夜は大きな音も出せないし、ついつい生音でポロポロと練習してしまう。自宅で大きな音を鳴らせない方がほとんどだと思いますので、当然のことです。
しかし、もしあなたが「もっとギターが上手くなりたい」と本気で思うなら、アンプを通した練習は絶対に欠かせません。
今回はその理由と、特にギターサウンドを歪ませた時にこそ真価が問われる「ミュート」という重要な技術について、僕の経験も交えながらお話ししたいと思います。
「キレイに弾けてるつもり」の大きなワナ
なぜ、アンプを通すべきなのか?答えはシンプルです。
生音の練習では、鳴ってはいけない「未処理の雑音」に気づけないからです。
エレキギターの生音って、実はとても小さな音ですよね。だから、弾きたい弦の音と一緒に、うっかり触ってしまった他の弦の音が鳴っていても、あまり気になりません。
これが、上達を妨げる大きな落とし穴。自分ではクリーンに弾けているつもりでも、いざアンプに繋いで音量を上げた瞬間、「ジャーン!」というコードの中に「ボーン…」と意図しない弦の響きが混じっていたり、単音弾きがノイズで濁ってしまったり…。
僕も初心者の頃、家で練習したフレーズをスタジオで鳴らしてみて、「あれ、家ではこんな音しなかったのに!」と愕然とした経験が何度もあります。
実際に、今日レッスンをさせていただいた生徒さんも「アンプを通すと、今まで気づかなかったノイズがうるさく感じる!」と驚いていました。
アンプを通して初めて、自分の演奏の「本当の姿」が聴こえてくるのです。
ノイズを認識して「コントロール」する
ここで重要なのは、ノイズの存在を意識して、それをコントロールするということです。
エレキギター、特にサウンドを深く歪ませる(ディストーションをかける)と、弦に少し触れただけの小さなノイズも一気に増幅され、非常に目立ってしまいます。
だからこそ、アコースティックギター以上に、エレキギターは「不要な音を鳴らさない」ためのミュート技術が、演奏のクオリティを左右するのです。
1. 左手で「弾いていない弦」にそっと触れる
まず基本となるのが、左手の指を使ったミュートです。
例えば、人差し指で3弦5フレットを押さえて音を出すとします。その時、人差し指の指の腹(指紋のある側)で、すぐ下の4弦に軽く触れておくのです。こうすることで、ピッキングの際にうっかり4弦に当たってしまっても、不要な音は鳴りません。
また、フレーズを弾いていない中指や薬指、小指などを、鳴らしたくない弦の上にそっと置いておくのも非常に有効です。
2. 右手はピッキングとミュートを両立させる
そして、左手と連携し行うのが右手のミュートです。特に歪ませたサウンドでは、この右手のコントロールが全てと言っても過言ではありません。
僕自身、弾く弦によって右手を置く位置を、常に無意識に微調整しています。
例えば、歪ませた音で1弦で速いフレーズを弾いている時、僕の右手のひらの側面は、3弦から6弦まで、ほぼ全ての弦に触れて不要な共振を徹底的に抑え込んでいます。
そして、3弦のフレーズに移る時には、ミュートしている右手を少しだけ動かして5、6弦を確実にカバーする、といった具合です。
最初は意識しないと難しいのですが、練習を重ねることで、これはもう感覚的に、無意識に行うようになります。
ディストーションを深く掛けるほどノイズはシビアになるので、その歪みの量に応じて、自然とミュートの掛け具合を調整できるようになっていくのです。
まとめ:アンプで「歪ませて」ミュートを練習しよう
「生音で完璧に弾ける」ことと、「アンプを通してクリーンに弾ける」ことは、その練習の目的が違います。
ミュート上達への近道
アンプで音を歪ませ、あえてノイズが目立つ厳しい環境で自分の音をシビアに聴き、「どの弦が、なぜ鳴ってしまっているのか?」に気づき、それをコントロールするためのミュートを体に覚えさせること。
ミュートしないとノイズがうるさくて、きちんと聴こえないという状況で鍛えるのです。
(僕の場合は、高校生の頃メタルの速弾きにハマり、歪みまくった音をいかにクリーンにミュートが出来るかを集中的に鍛えた時期がありました。)
最近はヘッドホンで練習できる小型アンプもたくさんあります。ぜひ、今日からアンプに繋ぎ、少し歪ませた音で練習してみてください。ノイズをコントロール下に置くことこそが、洗練されたギタリストへの確実な一歩となります。
Vitamin Studioでは、こうした一人ひとりの演奏のクセに合わせたミュートのコツや、クリーンな演奏のための具体的な練習方法をレッスンしています。「自分の演奏のどこを直せばいいか分からない」「ミュートができているか気になる」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
あなたのギターサウンドを、一緒に磨き上げていきましょう。



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