Vitamin Studioの田村です。
ペンタトニックスケールは、多くの方が最初に覚えるスケールだと思います。
しかし、「メジャーペンタ」と「マイナーペンタ」の関係になると「どういうこと?」と混乱される人が多いです。
「Aメジャーペンタは、F#mペンタと同じ音」 「Amペンタは、Cメジャーペンタと同じ音」
こう言われて「?」となる人は、是非、この記事を読んでください。
Aメジャーペンタトニックの音
まず、音を並べます。
A・B・C#・E・F#
ルートのAから見たインターバル(度数)は、R・2nd・3rd・5th・6th です。 メジャースケール(A・B・C#・D・E・F#・G#)から、4th(D)と7th(G#)を抜いた5音、と考えると分かりやすいと思います。
4度と7度を抜くので「ヨナ抜き音階」とも言ったりします。

Aマイナーペンタトニックの音
A・C・D・E・G
ルートのAから見ると、R・♭3rd・4th・5th・♭7th。 こちらはAナチュラルマイナースケール(A・B・C・D・E・F・G)から、2nd(B)と♭6th(F)を抜いた5音です。
同じAがルートでも、3rdが長三度か短三度か、そこがマイナーと分類される理由です。
「3rdがメジャーかマイナーかを決める」というコードの性質と、同じことがスケールでも起きています。

Aメジャーペンタは、F#mペンタでもある
ここからが今回の本題です。
Aメジャーペンタの5音を、AではなくF#から並べ直してみます。
F#・A・B・C#・E
これは、F#マイナーペンタトニックです。 音の集合は、まったく同じ。並べる順番――どの音を起点にしたか――が違うだけです。
同じことが、マイナー側でも起こります。
Amペンタの5音(A・C・D・E・G)を、Cから並べ直すと、
C・D・E・G・A
Cメジャーペンタトニックになります。
AマイナーとCメジャーは平行調(相対する調)の関係です。 その関係が、そのままペンタトニックにも当てはまっている、ということです。
どうしてサウンドの印象が違うのか?
「同じ音なら、同じスケールなのでは?」
そう思うのは自然です。 でも実際に鳴らしてみると、Aメジャーペンタと F#mペンタは、違って聴こえます。
違いを生んでいるのは、音の集合ではなく、どの音をルートとして聴いているかです。
同じ5音でも、バックでAのコードが鳴っていればAがルートに聴こえ、明るい響きになる。 F#mが鳴っていればF#がルートに聴こえ、暗い響きになる。
スケール自体が明るい・暗いのではありません。 伴奏と、その中でルートがどこに置かれているかで、聴こえ方が決まります。
ここが分かると、「同じ音なのに違う」という違和感が腑に落ちると思います。
ギタリストとして、どう使うか
この関係は、実践ではかなり便利です。
ギターは同じ形を平行移動できる楽器です。 そして、メジャーペンタとマイナーペンタは、指板上でまったく同じ形をしています。
つまり、
マイナーペンタの形を3フレット下げると、メジャーペンタになる。

Aメジャーペンタを弾きたいとします。 Amペンタの基本ポジション(6弦5フレットがルート)を、そのまま3フレット下げて、6弦2フレットから弾く。 これでAメジャーペンタの音が出ます。位置としてはF#mペンタです。
逆に、メジャーペンタを弾きたいときは「コードのルートより3フレット下のマイナーペンタ」と覚えておけば、すぐに出てきます。
マイナーペンタのポジションさえ入っていれば、覚える形を増やさずに済む。 覚える労力は、たしかに少なくなります。
インターバルでも覚えるほうが望ましい
一方で、この「3フレット下げる」という覚え方だけで進めると、行き詰まるときが来ます。
形をずらしているだけなので、いま押さえている音が何の音なのかが分からないからです。
Aメジャーペンタを、F#mペンタの形で弾いているとき。 指板上で「ここがルートのA」「ここが3rdのC#」と分かっていれば、フレーズの音を高い精度で選べます。
フレーズを着地させる音を選ぶ際に、形だけで弾いていると、たまたまいい音に着地することはあっても、狙って出すことはできません。
R・♭3rd・4th・5th・♭7th、あるいは R・2nd・3rd・5th・6th。
インターバルで指板を見られるようになると、指板の位置と、聴こえている響きが一致しやすいです。
これは、少し時間のかかる覚え方です。 でも、指板と音感がつながるという意味では、こちらのほうが断然、理解が進みます。
アドリブに慣れてきたら、このようなインターバルと指板の関係をしっかりと意識して覚えなおすことをオススメします。
まずは「形」からでよい
おすすめは、まずは「3フレット下げる」と覚えること。
- 「3フレット下げる」は、演奏中にすぐ動くためのショートカット
- 「インターバル」は、その形の中身を理解するための土台
まずAマイナーペンタトニックを3フレット下げたらAメジャーペンタトニックになると、形で覚える。
そのショートカットで弾けるようにして、弾きながら、いま鳴らしている音が何度なのかを少しずつ確認していく。
この順番で僕はレッスンをしています。
まとめ
- Aメジャーペンタは A・B・C#・E・F#(R・2nd・3rd・5th・6th)
- Aマイナーペンタは A・C・D・E・G(R・♭3rd・4th・5th・♭7th)
- Aメジャーペンタと F#mペンタは、同じ5音。起点が違うだけ
- Amペンタと Cメジャーペンタも、同じ5音。平行調の関係
- 明るい・暗いを決めているのは、音の集合ではなく、どの音がルートとして聴こえているか
- 実践では「マイナーペンタの形を3フレット下げるとメジャーペンタ」が使える
- ただし、インターバルで覚えるほうが、指板と音感が一致しやすい
ペンタトニックは、最初に覚えるスケールでありながら、ずっと使い続けるスケールでもあります。 形を覚えた次の段階として、その形の中身を見ていくと、同じポジションから出てくるフレーズが変わってきます。
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