ライブでとりあえず一本ならこれ|PRS DGT (2007年製)

機材

今回は「ライブにとりあえず一本持っていくならこれ」と信頼を置いているギターについてお話しします。
Paul Reed Smith (PRS) のDGTというモデルです。

僕が所有しているのは、2007年製の初期モデル。
購入して以来、ライブのみならず、セッション、レコーディングなど様々な場面で活躍してくれているお気に入りの一本です。

ラッカー塗装へのこだわりと、リアルな経年変化

僕が惹かれるギターには、ひとつの共通点があります。それは「塗装が薄い」ということです。

薄いラッカー塗装のギターは、ポリ塗装で厚く塗られたものよりも「出音が柔らかい」印象があります。この音の柔らかさが、僕の好みに直結することが多いのです。

DGTが発売された2007年当時、PRSのレギュラーモデルは少し厚めのポリウレタン塗装が主流でした。その中で、DGTは「ニトロセルロース・ラッカー仕上げ」を採用した珍しいモデルです。 (※ボディの下地には薄いポリエステルやウレタン系を使用し、その上にニトロセルロースを吹いているようです。)

この初期型を何年も狙っていたのですが、たまたま神奈川県のギターショップのサイトで、このゴールドトップの個体を発見し、手に入れることができました。

ラッカー塗装は傷がつきやすくボロボロになりやすいという特徴がありますが、そのぶん弾き込むことで特有の風格が出ます。 実際、2019年に購入した時点ですでにだいぶクラックが入っていましたが、現在ではさらにボロボロになっています。長年弾き込んできた結果ですが、ちょっと痛々しいかもしれません(苦笑)。

注釈:PRSの塗装仕様の変遷について 2010年頃から、PRSの塗装は「V12」と呼ばれるアクリルとラッカーの中間的な塗料(クラックが入りにくいのが特徴)が使われていて、その後、2020年以降のCoreモデル(現行のDGT含む)では「CAB(アクリル系)下地+ニトロセルロース・ラッカー仕上げ」となっているようです。

McCartyモデルの太さと、特有の「バイト感」

そもそも「DGT」というモデル名は、アメリカのギタリスト、David Grissom(デイヴィッド・グリッソム)のシグネチャーモデル(David Grissom Tremolo)であることを意味しています。

彼が長年愛用していたPRSのMcCarty(マッカーティ)をベースに、彼自身の好みを反映させて開発されたようです。
そのため、根本的なサウンドの骨格には「レスポール寄り」のしっかりとした太さがあります。
それに加えて、この時期の初期モデルはピックアップの出力がやや強いようで、ロックなニュアンスも持ち合わせています。

このギターを手に入れたかった一番の理由は、このギター特有のパーカッシブというか、「バイト感(噛み付くようなアタック感)」があったからです。
音が立ち上がる瞬間の気持ちよさが、弾き手のピッキングのニュアンスをしっかり引き出してくれます。
※ピッキングのニュアンスについてはこちらの記事もご覧ください。
ピッキングの角度について

↓実際に演奏している動画です。(フロントピックアップのみ使用)

最大の魅力は、実用レベルで「使える」コイルタップ

このギターを語る上で絶対に欠かせないのが、コイルタップ(ハムバッカーをシングルコイルのように鳴らす機能)の実用性の高さです。

一般的に、ハムバッカーのコイルタップ機能を使うと「シングルの音がどうしても微妙になる(細すぎる、バランスが悪い)」という弱点を感じることが多いと思います。
しかし、このDGTのタップ音は違います。タップした音が非常にクリスピーで、ハムバッキングとのバランスがよく、カッティングにピッタリとハマるんです。
※カッティングの技術についてはこちらの記事もご覧ください。
ギター演奏の質を変えるピッキングのTips|ストローク(カッティング)について

現場で本当に「使える」シングルコイルの音が出ます。
根本にあるレスポール寄りの太いトーンと、カッティングなどに最適なクリスピーなシングルコイルトーン。
この両極端とも言えるサウンドを、タップの切り替えによって一本のギターで網羅できる「幅の広さ」が、このギターの最大の強みです。

ネオソウルやファンクの実力派ギタリストが選ぶ理由

実はこのDGT、僕の好きなギタリストたちも愛用しています。
例えば、JamiroquaiのギタリストであるRob Harris(ロブ・ハリス)や、John Mayer、D’Angeloなどのサポートを務めるネオソウル界の最重要人物、Isaiah Sharkey(アイザイア・シャーキー)などです。

彼らのようなブラックミュージック、ネオソウル、ファンク系のギタリストがこのギターを選んでいるということは、 DGTが持つ「太いトーンと実用的なカッティング音の両立」、そしてパーカッシブな「バイト感」が、まさに彼らのプレイスタイルや現場の要求に直結するのだと思います。

※Rob Harrisについてはこちらのブログでも紹介しています。
精度が高く、グルーヴィーなカッティングの名手たち

どんな現場でも頼りになる圧倒的な汎用性

「今日はどんな曲をやるか分からない」「機材を最小限にしたい」というライブやセッションの現場で、とりあえずこのギターを持っていけば何とかなる。
そう思わせてくれる汎用性の高さがあります。
ラッカーのゴールドトップのルックスも気に入っていて、バイト感のある太いサウンド、そしてカッティングに使えるタップ音まで、僕の要求に高い次元で応えてくれる頼もしい相棒です。

※ Vitamin Studio(下北沢)では、こうした機材のポテンシャルを最大限に引き出すためのピッキングのニュアンスや、カッティングのレッスンも行っています。

体験レッスンも行っていますので、ぜひ、お問い合わせください。

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