今日は、1999年のアルバム『13』に収録されている、ブラーの「Coffee & TV」について深く掘り下げてみたいと思います。
もう10年以上も前のことですが、ブリティッシュ・ロックが好きな生徒さんから「Blurの”Coffee & TV”を弾きたい」とリクエストされたことがありました。
牛乳パックが旅をするMVは、今見ても本当に可愛らしいですよね。
最後は天に召されるというシュールなエンディングですが。
このMVの印象かもしれませんが、少し不思議だけど、しっかりポップでキャッチーに聴こえます。
しかし、これは実際に採譜してみて驚きました。
このギターリフ、非常に独創的だったのです。
Blur「Coffee & TV」のリフについて
このリフを実際に僕が弾いてみた動画です。
この曲のコード進行は以下の通りです。
B → A(add#9) → E(add9) → G → F(add#11) → A# → C#
この進行は、一般的なポップソングのコード進行とは一線を画しており、以下の3つのセクションに分けて分析できると僕は考えています。
1. EメジャーからEマイナーへのモードチェンジ
曲は、EメジャーキーのV度であるBから始まります。
このとき、3弦だけを少しチョーキングして、ねじ曲がったユニークな印象を強調しているのがポイントです。次に現れるA(add#9)は、Eメジャーキーにおけるサブドミナント(IV度)ですが、add#9というテンションによって、Aマイナーの響きを帯びています。これにより、曲のムードは一瞬にして明るいEメジャーから、物憂げなEマイナーキーへとモードチェンジしたかのように聴こえます。
続く**E(add9)**は、このキーのトニック(I度)として機能していると言えます。
2. Cメジャーキーへの大胆な転調
次のGコードは、それまでのEメジャー/Eマイナーのキーには存在しない音です。
これは、CメジャーキーのV度(ドミナント)として機能しており、ここで曲はCメジャーキーへと突然転調していると解釈できます。続く**F(add#11)**は、CメジャーキーのIV度(サブドミナント)であり、add#11というテンションが、開放弦の響きと相まって独特な響きを与えています。
3. C#メジャーキーへの半音転調と解決
そして、リフの転換点であるA#とC#。A#(B♭)は、Cメジャーキーには存在しませんが、C#メジャーキーのVI度を借用和音(モーダルインターチェンジ)として使われています。
このA#からC#へ進むことで、曲は最終的にC#メジャーキーという新しい調性へと解決しています。
以上、分析してみましたが、、、、とても難しいですね(苦笑)。
一般的な楽曲との差異
もう少し分かりやすく一般的な楽曲との差異を語るとするなら、多くの音楽は、明確なキー(調性)という「家」があって、そこから少し遠出して戻ってくる、という物語を持っています。
しかし、この曲は、一つの家から出て、別の家へ、さらにまた別の家へと渡り歩いているようなものです。
そういった変わった進行は、なかなかとっつきにくい楽曲になってしまいがちですが、この曲の素晴らしいところはそれにポップなメロディが乗っているところです。
これをキャッチーだと認識させる、Graham Coxon恐るべしです。
ユニークでありながらポップという、非常に高度なことをやってのけているこの楽曲、
実際に弾くのは結構難しいですが、僕のイチオシのリフのひとつです!



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