生徒さん一人ひとりの「できない」に寄り添うレッスンを
ギター講師として生徒の皆さんと向き合う際、私の心の根底には、常に一人ひとりが抱える「できない」という感情を丁寧に汲み取りたいという強い思いがあります。それは例えば、音感の課題であったり、リズム感の悩みかもしれません。
私自身の「できない」経験:才能との壁
これまでの音楽活動を通じて、生まれ持った才能の差を意識させられる場面は決して少なくありませんでした。
高校時代、共にバンドを組んでいた先輩は、幼少期からのヴァイオリン教育で絶対音感を持ち、チューナーが示す440Hzと441Hzの違いを歌い分けられるほど正確な耳を持っていました。一方、当時の私は、速弾きこそ多少できましたが、耳コピは苦手で、テンポを正確に捉えることにも大変苦労しました。タブ譜がなければ曲を理解するのも難しく、バンド練習ではリズムが合わず、自分だけが浮いてしまうような感覚に、いつも力不足を感じていました。
恵まれた才能を持つ人々との出会い
現在も、音楽の現場では信じられないほど高い基礎能力を最初から備えている方々とご一緒する機会があります。複雑な和音でも瞬時に音名を聴き分けられたり、天性のリズム感に恵まれていたりする人が、音楽の世界には確かに存在するのです。そのような方々にとっては、音が聴き取れない、リズムがわからないという感覚は、かえって理解し難いものかもしれません。
「できない」からこそ生まれた試行錯誤の日々
そうした才能豊かな方々と肩を並べて仕事をするためには、私には音感やリズム感といった不可欠な能力を地道に習得するか、あるいはそれを補う別のスキルを徹底的に磨き上げるしか道はありませんでした。「どのような練習が効果的なのか」「どうすれば感覚が変わるのか」――音の捉え方ひとつ、リズムの感じ方ひとつ取っても、まさに試行錯誤の連続でした。音の聴き方や身体の動かし方を変えることでリズムの「ノリ」が変わることに気づいたり、メトロノームとの向き合い方を深く掘り下げたりもしました。
今なお、苦労は続いています。
「できない」気持ちがわかるからこそできる指導
しかし、音感やリズム感で深く悩んだこの経験があるからこそ、生徒さんが「なぜできないのか」「どこでつまずいているのか」という具体的なポイントや、その時のやるせない気持ちを、より深く共感し理解できるのだと確信しています。そして、その「できない」を「できる」へと変えるための道筋を、自身の試行錯誤から得た知識や具体的な練習方法を通して、的確にお伝えできるのではないかと考えています。
生徒さんと共に成長する喜びを目指して
生徒さんの「できるようになりたい」という純粋な願いを何よりも尊重し、同じ目線で悩み、そして共に成長の喜びを分かち合える――。そんなレッスンを、これからも大切に続けていきたいと心から願っています。



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