バレーコード(セーハ)のコツをGoogle AIに聞いてみた→回答を現役ギター講師が添削してみた

ギターレッスン初心者向け

ギターのバレーコード(セーハ)のコツをGeminiに質問、その回答をチェック!

「最近のAIはすごいらしい。ギターの練習も、もうAIで十分なのかな?」

改めて、私の経歴を紹介させていただくと、私はギター講師として15年以上のキャリア(累計指導生徒数400名以上、ソニーミュージック新人レッスン担当などの実績)があります。

「今の時代、AIでギター講師はいらないのか?」そう言った疑問はありますよね。

そんな疑問を確かめるべく、今回はGoogleの最新AI「Gemini2.5pro」に、多くの初心者がつまずく「バレーコードのコツ」を質問し、その回答を現役ギター講師の視点から本気で**「添削」**してみました。

すると、AIの驚くべき能力と、同時に私にとっては気になる「盲点」が面白いほどクリアに見えてきました。この記事は、その添削の記録です。

まずはGoogle AIの「模範解答」を見てみよう

最初に、AIに「バレーコードのコツをなるべく詳しく教えて」とストレートに質問しました。
返ってきた答えが、こちらです。

【Google AIによる模範解答の要点】

  • 指の側面を使う: 柔らかい指の腹ではなく、骨ばった側面で押さえる。
  • 親指はネック裏の中央: 洗濯バサミのように人差し指とネックを「挟む」。
  • 手首を前に出す: 指が弦と並行になり、力が均等にかかるようにする。
  • 音が伸びている間の脱力:音が伸びている間は、指の形はキープしつつも次の音を鳴らす瞬間に「クッ」と力を込める。
  • 右腕の力も意識する: 左手の指先の力だけでなく、ギターを体に引き寄せる右腕の力もテコの原理で使う。
  • ギターのヘッドを上げる: 左手首が窮屈にならない、自然な角度を保つ。
  • フレットのすぐそばを押さえる: これが最小の力で音を出すための基本。

いかがでしょうか。
かなり的確で、教則本に書かれているような内容が網羅されています。
ハッキリ言って、知識としては優秀です。

しかし、この優等生な答えを鵜呑みにすると、あなたは「音は出るが、より適切な音楽表現をする」という次の壁にぶつかるかもしれません。
ここから、私が「添削」をしてみたいと思います。

講師がAIの回答に「赤ペン」を入れていく【添削ポイント3選】

この模範解答に、私の見解を入れて「赤ペン」を入れていきましょう。

添削ポイント①:「力を緩める」のではなく「安定した圧力を保つ」

AIは「音を伸ばす間は力を抜く」というニュアンスで教えることがあります。
しかし、これはちょっと語弊があるかもしれません。

【添削後】
ギターは必要とされる音の長さを保つのが難しい楽器です。
多くのギター演奏者が陥る技術的な問題は、音が短いことです。
しっかりと音を保つには、力むのではなく「安定した圧力」をかけ続ける必要があります。
基本的には音が途切れないように、次のコードに移るギリギリまで、音価を保つ意識を持ちましょう。

添削ポイント②:「挟む」意識から「重さを乗せる」意識へ

「挟む」という言葉は、動作としては正しいのですが、そのイメージからどうしても指に不要な力みを生みやすいです。

【添削後】
「握る」という意識をなるべく減らしたいです。
腕全体の重さを、フレットに引っ掛けるフックのようなイメージで指を介して「乗せる」感覚です。
腕の重さを少しでも味方につければ、最小限の力で、豊かで長い音を得られます。
次に述べる「左手の親指の移動を素早く行う」ためにも、押さえるというより、正確にフレットの際に指を置いていくようにしましょう。
力まない方がピッチ(音程)も安定します。

また添削ポイントというよりは補足ですが、親指を強く固定すると、次のコードへの移動が遅れてしまいます。
親指はがっちり固定する役割ではありません。
運指全体をスムーズに導く**「中心」**です。
なるべくリラックスさせ、次のポジションへ滑らかに移動できる準備をしておきましょう。

添削ポイント③:「右腕の力をテコの原理で使う」は“スタイル”を選ぶ

AIは「ギターを体に引き寄せる右腕の力もテコの原理で使う」と教えてくれました。
これは非常に合理的なテクニックです。しかし、これには大きな「前提条件」があります。

それは、ギターを比較的高めに構えているということです。

ポピュラーミュージック、特にロックの世界では、ステージでの見た目、つまり「カッコよさ」が非常に重要です。ギターを腰のあたりで低く構えるスタイルは、その象徴と言えるでしょう。しかし、その構え方では、物理的に右腕でギターを引き寄せてテコの原理で押さえるというテクニックは使えません。

【添削後】
「腕で引く力」は、演奏の機能性を追求するなら非常に有効です。
しかし、見た目を重視してギターを低く構えるスタイルを選ぶなら、このテクニックに頼ることはできません。その場合は、これまで述べた「腕の重さ」や、より純粋な指の力で押弦する必要が出てきます。

どちらが正しいというわけではなく、あなたが目指すギタリスト像や音楽スタイルによって、使うべき技術は変わってくるのです。
AIは、この「スタイル」や「美学」という文脈までは、こちらから掘り下げない限り教えてくれません。

なぜ答えが違う?添削して見えたAIと人間の「視点」の決定的違い

添削して見えてきたのは、AIと人間の「視点の違い」です。

  • AIの視点: 統計データに基づき、「どうすれば音が出るか」という平均的見解、また権威だと思われるネットの情報に頼って、技術的な正しさを教える。
  • 私の視点: 経験と実際に弾けるスキルに基づき、「どうすれば音楽が豊かになるか」というゴールから逆算して教える。
    また対象者がハッキリしている場合には、その対象者が求める内容を、テキストだけではない情報から精査できます。

AIは、膨大な情報から導き出した「平均的で正しい答え」を出すのが得意です。
しかし、音楽の目的やその実践を踏まえた上での答えを得るには、詳細な前提条件を与え、AI自体に情報を精査させないと現時点では難しいと言えるかもしれません。
前提条件には、いわゆる暗黙知など言語化されていない情報も含まれるため、結果として知識や経験が必要になってきます。
つまり、最終的に適切な答えを得るためにはそもそも「ギターを弾ける必要がある」といえるかもしれません。
現時点で、AIの模範解答は、あくまで即時的で直線的な入口と言えるでしょう。

結論:AIは優秀な家庭教師。でも「添削」できる専門領域を持っている指導者はまだ必要

今回の検証で、私はAIの能力に改めて感心しました。
それと同時に現段階では独学の難しさもいまだに存在していると感じました。

現時点で有効な学び方は、「AIと人間のハイブリッド」です。

  1. AIを「平均的な知識を得る道具」として使うこと
    基本的な知識など、網羅的な情報収集はAIに任せるのは良さそうです。
  2. 専門領域は人間の指導者に「添削」「意見」してもらうこと
    AIから得た知識を元に実践し、出てきた音や表現が「音楽的な表現につながるのか」を、経験豊かな講師に判断・修正、実際の演奏と共に見解を聞くとよいでしょう。

AIの答えを鵜呑みにせず、その答えが自分の目指す音楽にとって本当に適切かどうかを判断する。
これからの時代の学習に重要なスキルなのかもしれません。

この記事が、あなたのギター学習のヒントになれば幸いです。

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