EDMやK-popをベースとした現代的なトラックに、生のエレキギターやアコースティックギターを混ぜた時、「どうもサウンドの“圧力”が足りない…」と感じたことはありませんか?
パワフルなサブベースが鳴り響く音像の中では、その差は歴然。
ギターサウンドがどこか軽く、存在感が希薄に聴こえてしまう。
これはクリエイターがギターサウンドを取り入れたい場合に直面する課題です。
この記事では、その原因と、エフェクトプラグインを使った効果的な解決策をご紹介します。
なぜギターの低域は不足しがちなのか?
ギターの低域が物足りなく感じられるのは、楽器の特性と最近のアレンジ傾向によるものです。
ギターはもともと中域から高域に音が集中しており、基音は80Hz〜数kHzの範囲に分布しています。
一方、近年のポップスではベースやキックがサブ帯域(40Hz以下)まで下がることが多くなりました。
その結果、楽曲の土台を支える超低域と、ギター本来の中低域の間に「音の隙間」が生まれ、ギターの低域が相対的に薄く感じられるのです。
解決策は「低域補強プラグイン」
この問題を解決するために、僕が実践しているのが「低域を合成的に補う」というアプローチです。愛用しているエフェクトプラグインをいくつかご紹介します。

- bx_subsynth (Brainworx)
元のギタートーンを壊さずに、不足している低域成分をパワフルに合成してくれます。トラック内でガツンと重心を下げたい場合に最適です。

- LeapInAudio RootOne bx_subsynthよりも、さらに自然で繊細にサブ帯域を足すことができるプラグインです。生音の質感を何よりも重視したいアコースティックギターや、バンドサウンドに少しだけ現代的な厚みを加えたい時などに重宝します。
この他にも、WavesのRenaissance Bass、Submarine、LoAirなども定番です。
どのプラグインを選ぶかは、求めるサウンドやトラックの方向性によって使い分けています。
J-popとK-popの低域アプローチの違い
あくまで大まかな傾向ですが、低域の捉え方にはジャンルによる違いが見られます。
- EDMの影響が強いポップス (K-popなど) サブベースを重視し、音楽の“土台”として低域を非常にパワフルに構築する傾向があります。
- 従来のJ-pop ボーカルやメロディが際立つよう、ローカットを深めに行い、中域・高域を優先することが多いです。そのため、低域は整理され、スッキリと聴こえる傾向にあります。
もちろん、近年では海外トレンドを意識し、サブベースをしっかり鳴らしているJ-pop楽曲も増えています。
「低域のレイヤー構造」で考えるギターの役割
現代的なミックスでは、低域を以下のような層(レイヤー)で捉えると、ギターの役割が明確になります。
帯域の領域を具体的には以下のようなHzで考えてみます。
- サブ帯域 (20Hz∼60Hz):振動 → キック、サブベースの領域
- 低域帯域 (60Hz∼120Hz):厚み・音圧 → ベース、そしてギターを補強すべき領域
- 中低域 (150Hz∼300Hz):胴鳴り・音の芯 → ギターの低域の領域
サブベースが支配的な音像の中で、ギターは「サブ帯域」と「中低域」をつなぐ“橋渡し役”を担うことができます。
例えば、bx_subsynthを使ってギターに 60Hz∼100Hz の成分を足してあげると、キックやサブベースの最も低い部分とは被らずに重心が下がり、ミックス内でのギターの“居場所”が生まれます。RootOneを使えば、より繊細にこの橋渡し役を担わせることが可能です。
まとめ:積極的なサウンドメイクでギターの可能性を広げよう
DAW上で音楽制作を行う現代において、ギターサウンドはもはや元の音色に固執するだけではありません。
楽曲全体のバランスを見て、時には元の音を覆すような大胆なエフェクト処理も積極的に行われます。
上記で述べたように近年のミックスでは、キックやベースがサブベース帯域に重心を下げたことで、ギターもそれとマッチするように低域を補強して重心を下げてあげた方が、ミックスに自然に馴染む場面が増えています。
今回ご紹介した低域補強は、ギターを生々しく聴かせるためではなく、現代的なトラックに自然に、かつ力強く馴染ませるためのテクニックです。
楽曲制作をする際に、ぜひ、試してみてください。



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